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自動車教習所の指導員が、毎年受講しなければならない法定講習の資料の一部を抜粋し紹介しています。
教習指導員だけでなく一般ドライバーの皆さんの今後の運転知識の参考になれば幸いです。

大阪府の平成18年法定講習のテーマは 『追突』 です。
平成18年法定講習   『追突事故を科学する〜事故の類型別分析(T)〜



●クイズ●



Q1.追突は次のどちらの場所で起こりやすいと思いますか?

   A.交差点とその付近     B.交差点以外の単路





Q2.追突の原因として次のどれが一番多いと思いますか?

   A.車間距離    B.最高速度違反    C.脇見運転    D.ぼんやり運転(居眠り)





Q3.追突が起こりやすい道路は次のうちどれだと思いますか?

   A.一般道路   B.東名・名神高速道路などの高速自動車国道   C.首都高速・阪神高速などの指定自動車専用道路






●なぜ追突を問題とするのか●

 交通事故を起こさない、そして安全な運転を行うためには、運
転者個々人が 「事故がどのように起こっているか」 「事故の
起こる原因は何か」 についてよく心得ておくことが大切です。


 今回は 「追突」 がテーマですが、なぜ 「追突」 を問題と
して取りあげたのか理由を挙げると次の通りです。

1・追突が全事故の31.2%を占めていて、最も多い(
表1
2・第2番目に多い 「出会い頭衝突」 と比べて、追突の増加
傾向が認められる(
表2)ことにより、今日最も積極的に防止対
策を講じなければならない問題だからです。


 過去14年間に出会い頭は1.4倍の増加であるのに対して、
追突は1.9倍の増加率を示しています。
表1
全事故の類型別構成比

追  突

31.2

出会い頭

26.4

右折時衝突

9.0

人対車両

8.7

車両単独

5.6

右 折 時

4.9

車両相互その他

4.1

正面衝突

3.0

後 退 時

2.0

進路変更時

1.5

追越追抜時

1.4

すれ違い時

0.9

横 断 時

0.7

転 回 時

0.5

列  車

0.0

表2
追突と出会い頭衝突の交通事故件数の推移
 

平成2年

平成16年

追   突

154,253

297,182

出会い頭衝突

177,536

251,601






●Q1の正解●


Q1.追突は次のどちらの場所で起こりやすいとおもいますか?  


A.交差点とその付近

B.交差点以外の単路



一般的には交差点とその付近、特に交差点の手前が多いと考えられているのではないでしょうか。



●正解
 表3が示すように、追突は交差点とその付近で起こるのが40.8%に対し、単路では59.2%と交差点とその付近より多く発生してい
ます。
 追突死亡事故にあっても、7対3の比率で単路での発生率が高くなっています。




 交差点に近づくに際して、運転者は追突をはじめとして注意を
払う傾向があるのに対して、そうでないところでは緊張感が低
いことがこのような結果を生み出していると考えられます。


 交差点とは違って、単路では先行車は止まらない・速度を落
とさないという思い込みがありますが、実際にはレストランやガ
ソリンスタンドなどへ入ろうとする車があって、右横断したり左折
するために、停止したり速度を落とすことがあり、それに追突す
るケースがしばしば認められます。


 このように予期せぬ事態で追突は起こりやすく、単路でより多
く起こっていることを認識しておかなければなりません。
 表3
追突が起こりやすい場所

 

交差点及び付近

単    路

追突事故

40.8

59.2

追突死亡

29.9

70.1






●Q2の正解●

Q2.追突の原因として次のどれが一番多いと思いますか?


A.車間距離

B.最高速度違反

C.脇見運転

D.ぼんやり運転(居眠り)



この問いに関しては、 「車間距離不保持」 と答えられた方が
一番多かったのではないでしょうか。



●正解
追突の原因を示した
表4の上位3項目は、「脇見」 「動静不注
視」 「漫然運転」 で、脇見が41.8%と飛びぬけて多いこと
がわかります。

表4
追突事故の原因となる
違反行為比率 (%)

脇  見

41.5

動静不注視

21.9

漫  然

13.7

操 作 不 適

10.0

安全不確認

 5.3

車 間 距 離

 3.5

安 全 進 行

 0.3

一時不停止

 0.1

徐 行 違 反

 0.0

信 号 無 視

 0.0

 交通事故の中で最も起こりやすい事故は追突ですが、追突を起こす最も多い理由が 「脇見」 「動静不注視」 「漫然運転」 「操作不
適」 であることが上記の
表4で示す通りです。



(1) 脇見とは・・・

 脇見とは 「見るべき方向以外に目をやること」 を意味していますが、運転に必要な対象・事象・状況以外のことに目をやることを脇見
運転といいます。

 脇見の背景には 「安全運転である」 との 「思い込み」 があります。
 脇見は目線の問題のように考えられていますが、意識・心がその対象に向き 「気をとられて」 目がそれに向くことにあります。
 たしかに、運転中に色々なことが目に入ってきますが、自分が興味や関心を持つことに気をとられる [意識の脇見] があり、それにし
ばらく目を向けるという [目線の脇見] が続くのです。



(2) 動静不注視とは・・・

 動静不注視とは、「相手には気付いていたが、危険でないと思い注視を怠った」 などの理由で事故が起こってしまうことです。
 「車線移行のため斜め後方の車の状況に注意し、前方注視を怠った」 「ずーっと前方の道路状況に目を向けて、前車の動きを見てい
なかった」 「2台前の大型車に目線を合わせながら運転」 ということも動静不注視ということになります。



(3) 漫然運転とは・・・

 漫然運転の中には、「居眠り運転」 「ぼんやりしていた」 「考え事をしていた」 ラジオ・ステレオ等を聞いていた」 などが含まれます。
 眠るとは、心身の活動が休止して目を閉じて無意識の状態になることですが、居眠りとは座ったり腰掛けたりしたままで眠る状態のこと
をいいます。

 

 
「居眠り運転」 といった場合、ぼんやりと何かを思い出したり、とりとめのない事を考えているうちに意識水準が低下して、居眠り寸前
の状態になってしまうことを意味しています。
 運転中には正体をなくして眠りこけている状態までは至っていないでしょうが、目を開けてはいるが居眠り寸前の状態で運転しているこ
とは、外部の状況が把握できていないので事故一歩手前の危険極まりない状態なのです。

 
 「ぼんやり」 とは、意識が明瞭でなく霞んだ状態になっていることで、疲れていたり何もしたくない状態での消極的な精神状態での意
識である。
 運転をする場合に、このような意識状態では情報をとったり判断をしたりということにはならず、危険に対する対応も取れないことになり
ます。

 

 
「考え事をしていた」 とは色々と思案することを意味しますが、主として思い悩んで心配な事柄を頭に浮かべる状態をいいます。
 「考える」 ということには、計算する・問題解決のために思考する等というように積極的な意識の場合もありますが、頭に浮かぶことを
何となく心にめぐらせている状態の場合もあります。
 考え事をしていて事故を起こしたというのは後者の場合です。



(4) 操作不適とは・・・

 
運転操作の中で重要なものとして、ブレーキ操作とハンドル操作の二つがあります。
 追突発生にはブレーキ操作が最も多く関わりますが、それは速度・路面状態・車重などの条件によって最適なブレーキ操作を行なう必
要があります。
 
 速度が高ければブレーキを強く踏まなければならないし、路面状態が悪ければそれに適したブレーキを選ばなければならない、摩擦係
数が低い路面ではスリップを警戒しながらのブレーキが必要です。
 積荷や同乗者の数により車重が変化し、ブレーキの効き具合が変化することも考慮しておかなければなりません。
 高速で走行中、障害物が突然出現して(例えば、子供や動物・段ボール箱など)急激なハンドル操作をすることでコントロールを喪失す
ることがあり、それが追突を引き起こす原因となることもあります。





表5
「追突しないために心がけていること」
の構成比 (%)

JAFmateアンケート調査結果
(2001年12月号3851名回答)

車間距離をあける 61.5
2〜3台先の車に注意する 10.6
運転に集中、脇見や考え事をしない  8.1
法定速度を守り、安全運転  5.7
早めのブレーキを心がける  4.7
時間と心の余裕を持つ  1.6
サイドブレーキを引く、Nに入れる  0.8
車の流れに乗る、道路状況の確認  0.6
早めの合図、方向指示器  0.4
トラックや変な車は避ける  0.1
その他

 6.0

表5は、一般ドライバーに追突を起こさないために必要なことは何かと
尋ねた結果、 「車間距離をあける」 ことが重要であると考えている人
が多いことがわかります。


 運転者の心掛けとして追突を避けるため車間距離をとることは何より
も必要ですが、
車間距離を充分とっていても脇見をして先行車を2秒も
見ていなければ、時速40kmで走行していると22mも前を見ていない
ことになります。

 その間に、前の状況が急変して先行車が停止や減速をしていたら追
突が起きても不思議ではありません。


 小学校のプールが25mであることを考えると22mとは結構長いもの
で、22mも前を見ないで運転していることを想像すると背筋が凍る思い
です。
 
追突を起こさないためには車間距離をとることと並んで、脇見をしない
ことが何よりも重要です。






●Q3の正解●

表6
道路種別にみた
追突事故の比率 (%)

一 般 道 路

31.2

高速自動車国道

57.0

指定自動車専用道路

74.1



Q3.追突が起こりやすい道路は次のうちどれだと思いますか?


A.一般道路

B.東名・名神高速道路などの高速自動車国道

C.首都高速・阪神高速などの指定自動車専用道路



この問いには、回答を迷われたのではないでしょうか。
一般的に高速自動車国道と指定自動車専用道路をあわせて高速道路
といいますが、それぞれの場面で使い分けて記載しているのでご理解
下さい。



●正解
 表6に示すしているように、一般道路では31.2%、高速自動車国道
では57.0%、指定自動車専用道路では74.1%という結果が出てい
ます。
 高速道路での追突事故は非常に多いことがお分かりになっ
たと思いますが、平成16年の高速自動車国道及び指定自動
車専用道路での事故を類型別にみると、
表7表8になります。


高速道路での事故は57%が追突で最も多く、次いで車両単
独が22.3%を占めており、その両者でほぼ80%となります。
 
表8から、追突の類型としては 「車線上停車」 への追突は
24.6%、「走行車」 への追突は22.3%と、この両者はほ
ぼ近い値となっています。


 一方、自動車専用道路では 「追突」 が74.1%と4分の3
を占めており、 「単独」 は8.5%と少ない数値になっていま
す。
 
表8から、追突内容としては 「車線停止車」 への追突が
49.5%と半数を占め、 「走行車」 への追突は18.5%と
2割弱となっています。


 高速自動車国道では 「追突」 が約6割を占めていますが、
防護柵や分離帯にぶつかる車両単独にも注意する必要があり
ます。
 また、自動車専用道路では渋滞することも多いので、前方の
状況などに充分注意しなければなりません。










表7

事故類型別構成比

類 型 別

高速自動車国道

自動車専用道路

追  突

57.0

74.1

衝突・接触

10.8

8.0

車両単独

22.3

8.5

人対車両

1.5

0.5

車両相互その他

8.4

8.9



表8

追突内容の状態別構成比

追突内容

高速自動車国道

自動車専用道路

車線上停止

24.6

49.5

走行車に

22.3

18.5

料金所停止車に

8.2

5.3






●参考として●



全国の追突比率の高い高速自動車国道・自動車専用道路を下記の
表9表10で示しました。



表9

追突比率が高い10路線 
(高速自動車国道)
(追突件数100件以上の路線を選んだ)

順位

路線別

追突比率

追突件数

東京外環

86.7%

221

近畿(西名阪)

68.0%

219

名 神

67.3%

335

近畿(東名阪)

62.5%

125

中 央

61.6%

337

東 名

61.5%

638

常 磐

59.3%

169

山 陽

55.0%

249

中国縦貫

46.7%

158

10

九州縦貫

44.2%

188

表10
追突比率が高い9路線 
(自動車専用)

順位

路線別

追突比率

追突件数

加古川

91.6%

163

京葉道路

87.7%

279

首都高速

84.9%

2,216

保土ヶ谷

80.0%

160

姫 路

76.7%

184

名古屋都市高速

72.5%

145

第二神明

71.7%

203

名阪国道

68.3%

181

阪神高速

60.9%

898






●高速道路における事故原因●

高速道路と指定自動車専用道路の事故原因の構成比が表11
です。
 最も多いのが 「前方不注視」 ですが、脇見 ・ 居眠り ・ 
ぼんやり ・ 車内での戯れ ・ 人との会話 ・ 漫然運転 ・
考え事などが含まれます。


表11

高速道路における事故原因構成比
  高速自動車国道 自動車専用道路
前方不注意 40.8 43.8
動静不注視 14.9 21.1
ハンドル操作 10.8 4.8
ブレーキ操作 8.1 7.5
最高速度 5.1 4.7
安全速度 4.3 1.0
安全不確認(後) 4.1 2.6
安全不確認(左右・前) 4.1 5.0
車間距離不保持 2.1 5.6
安全運転義務 1.3 0.5





表12

高速道路における不注意の理由
他のことを考えていて 298
何となくぼんやり 102
他車に気をとられて 68
車内のものを取ろうと 24
事故に気をとられ 21
風景に気をとられ 12
カーステ・カーナビ等の操作 12
同乗者と話中 10
同乗者に気をとられ
喫煙

高速道路における事故原因として多い不注意の理由は表12の示した
とおりです。


 最も多いのが 「前方不注意」 、一般道路での不注意は車外のこと
に気をとられるケースが多いのですが、高速道路においては考え事や
ぼんやりする、車内の人や物に注意を向けるなど運転以外のことを考
えているケースが多いことがわかります。


 2番目に多いのが 「動静不注視」 ですが、 「動静不注視」 とは先
にも述べたとおり自分の運転に関して必要な情報を取るため他の車に
気をとられたり、側方や後方の確認をしていて前方の注視を怠ることで
す。






●一般道路における追突事故事例●

・対向車への脇見による追突
・案内標識に気をとられての追突
・車線変更しようとして後方を見ていての追突
・タバコの火を消すため灰皿の方をみていての追突
・カーステレオやカーナビの操作をしていての追突
・眠っている同乗者に声をかけ起こしていての追突

・一台先の大型車を見ていて前車に追突






●追突しやすい車種と追突されやすい車種●

表13の示すとおり、追突しやすいのは大型車種やキャブオー
バー型で、運転席位置が高く前方が見通せる車種です。
 反対に、追突されやすいのは小型車種で3BOX(トランクがあ
る)、2BOXでも荷台があるものです。


表13

車種別・車型別にみた
追突の多い順

政令大型貨物

大型貨物

大型乗用バス

普通貨物トラック

普通貨物ワンボックス

普通貨物ライトバン

普通乗用ワンボックス

普通乗用セダン

軽貨物ワンボックス

10

軽乗用セダン

11

軽貨物トラック






●脇見による事故の発生率が高い車種●

表14
全事故の中で
脇見が原因の事故比率

大型貨物

25.4

普通貨物

20.7

普通乗用

19.8

軽 乗 用

17.6

軽 貨 物

15.6

自動二輪

11.4

原   付

11.0

バ   ス

9.4

自 転 車

2.4

表14は、事故原因に占める比率を車種別に示したものです。
運転席位置が高い大型車が、脇見をしやすいことを物語るデータです。






●おわりに●

追突事故をテーマに、追突の実態の分析 ・ 追突の原因分析 ・ 原因に関わる周辺情報を幅広く提示してきました。
これらの事実を多くの人たちに伝え、最も多く発生する追突事故防止に活用していただければ幸いです。





参考文献

社団法人 大阪自動車学校協会 発行  
平成18年 職員講習会資料   『追突事故を科学する 〜事故の類型別分析(1)〜』 

参考資料(TOP)                                                                HOME(ふくまるの自動車教習所)